友達いないー’sの日記

友達いない~’sのたまり場

スリーピースバンドですか?

乳首のから揚げ

 私、南井は悩んでいた。朝ご飯に対してだ。

 私は白米を単体で食べられない人間なのだ。噛んでいると甘くなってくるなどと誰かが言っていたが冗談じゃない。口の中ででんぷんのりを作るのは勘弁だ。

 

 米を四六時中食べていたいやつはいっそ文房具メーカーにでも就職すればいい。でんぷんのりの需要があるかは知らないが。

 

 と、なるとおかずが必要になる。できればしょっぱいものがいい。冷蔵庫を覗くが大したものは入っていない。朝からめんどくさい料理をするのも嫌なので冷凍庫に目を移す。

 

 フライドポテトだ。冷凍のフライドポテトがあった。大方、酒のつまみ用か何かであろう。白米単体で食べることはできないが、白米とフライドポテトで食べることはできる。変ではあると思うがそれが南井なのだ。他人の好みに口を出すな。ただし、米をくちゃくちゃしていたいやつは別だ。今すぐ文房具メーカーに就職しろ。

 

 フライドポテトであれば揚げるだけであるからめんどくさいことはない。迷わずそれを手に取る。

 

 次は鍋の用意だ。私は黙って卵焼きパンをコンロに置く。なに卵焼きパンを選んだ深い理由はない。シンクにたまっていた鍋の中で一番表面積が小さく洗うのが楽であったからだ。

 だが、この選択が過ちであった。

 

 

 IHのスイッチを入れ適当な温度にセットし、油が温まるのを待つ。そうだ、この間に顔を洗ってしまおう。洗い終わるぐらいでちょうど油も温まるだろう。

 

 洗い終える、油も温まっているようだ。多分。見た目じゃわからん。が、待つのは嫌いなのですぐに凍ったまま、固まりになったフライドポテト(揚げる前なのだからフライド、であるのはおかしいような気もする)を全量ぶち込む。

 

 

 

 刹那、上半身を無数の弾丸が貫く。

 

 

 

 

 爆発だ。油は十分に温まっていた。そこに凍った芋、霜もだいぶついている、を勢いよく入れるとどうなるかは想像するに易い。突沸だ。それに伴い加熱された、170℃前後の油が飛び散ったのだ。卵焼きパンだったのも悪手であった。浅く、まんべんなく広げられた油は鍋の壁によってさえぎられることもなく、100%が鍋の外に飛び散る。

 

 弾丸は油だった。顔、胸にかかったそれは飛来の最中に多少温度は落ちたであろうが、人間を火傷させるに十分な温度を持っていた。先ほど洗ったばかりの顔を抑え大急ぎで洗面台に向かい冷水で顔を洗い、冷やす。顎をやけどしたようだ。

 

 顔以外ではあまり痛みはない。しかし、一か所だけ鈍い痛みがある。

 

 

 

・・・・・・・右乳首だ・・・

 

右乳首が油で揚げられてやけどを負った。ただでさえ敏感であるはずの部位が余計に敏感になってしまうではないか、痛みに対して。あぁ、いまだかつて右乳をから揚げにした人間はいたであろうか。右乳首「だけ」を揚げてしまったものはなかなかいないだろう。だから私の勝ちだ。

 

 

 

そうこうするうちにポテトは完全に焦げていた。